シアトル近郊で長距離を走るうちに、私たちは当時の流行だったロードレーサーとは異なるバイクの必要性を感じ取りました。私たちのドリームバイクは、レーシングバイクの走行性能をもち、かつ、冒険的なシチュエーションにも対応するバイク。ドリームバイクは存在しないのか…そんなとき、創始者であるヤン・ハイネは、ミッドセンチュリーのライダーたちから、インスピレーションを得ました。彼らは、当時の決してスムースとはいえない路面状況においても、走りにおける速さやパフォーマンスの追求をしていたのです。
彼らを通じて出会ったのが、フレームビルダーの「ルネ・エルス」でした。航空機の開発にも携わっていたルネ・エルス。彼は航空機の技術をバイクパーツの開発に導入した、いわばモダンバイクのパイオニアでもあります。1938年、彼が初めて作ったバイクは重量たったの7.9kg。それでいて、泥除け、ライト、ラックやワイドタイヤを備えていました。それはまさに、私たちが欲していたバイクの機能と性能そのものだったのです。


